はじめに
投資家・事業家の平野淳也です。久しぶりの情報発信になります。
私は2013年頃からビットコインに関心を強くもち、投資を開始、2018年に暗号資産企業を創業しました。
同社は当時としては業界最大のリサーチレポートおよび暗号資産レンディング企業として、同社は2023年にSBIグループ入りをして現在に至るまで、引き続き暗号資産や金融資産のデジタル化の文脈で事業展開をしております。私は社長を退任していますが、取締役として引き続き同社の発展と業績にコミットしています。
また普段の活動として、アセットクラス問わずトレード・投資を真剣にやったり、小さな会社の買収とバリューアップ、不動産などを行っています。
さて今回は、クリプトの領域で10年以上仕事をして2026年の今思うことについて自分史の1ページをまとめるような意味も込めて、振り返りたいと思います。
今であればビッグトレンドは間違いなくAIですが、クリプトもゼロから一定程度存在感のある資産クラスが急速に誕生したある種の一つ大きいトレンドでした。
本投稿は、同じ業界の人にも読んでいただきたいですが、1つのビッグトレンドで仕事をしてそこから何を学んだかを・伝えたいことをなるべく普遍的に書きたいと思います。
また同時に暗号資産業界に対して今なにを思うかも綴っていきたいと思います。
私にとっての暗号資産業界を振り返る
暗号資産・クリプト・Web3の業界は形を変えて、様々なブームを変遷してきました。
2015年頃からは一部の個人から投資対象としてのビットコインが認められはじめられ、2017年頃のアルトコインブームを経て、2020年頃にDeFiが誕生して、はじめてEthereum上のユースケースとなり、2022年以降、NFTブームが起きて、以降Web3(GameFi、DAO、ミームコインのブーム)へと続きました。
つまるところ、ビッグトレンドの中で多くのブームが生まれて去っていったのです。
幻滅期にはいりそのまま浮上しなくなったテーマもあり、来歴証明・IPのトークン化による小口化・ゲームユーザーがトークンで稼いだりゲームキャラクターの資産化など、今まで色々なことができると期待されたクリプトは、野望のダウンサイジングが行われたと認識しています。
ビットコインやイーサリアムは機関投資家も購入する金融商品としての地位がすでに達成されましたが、それを除けば、2026年現在、金融資産のオンチェーン化・それによってDeFiに類似するスマートコントラクトでの取引効率化だけが、ほぼ唯一クリプトの夢として残った、というのが業界のコンセンサスになりつつあると言って良いでしょう。
(もちろん例外的に、違うレールでビジネスが成立する事例は今後も生まれ得ると思いますし、私とは違う認識を持っている業界の人もいると思います)
「ブロックチェーンでこんなことが出来るかもしれない」という可能性の多くが実験済となり、不可能なものと、実現できるものの区別がついたとも言えます。またそれとは別に2024年以降から多発した著名人のミームコインは、暗号資産の詐欺的な活用方法を広めて、業界の評判を著しく損ね、活力を低下させたようにも思えます。
さてそうしながらも現在は金融資産のオンチェーン化という文脈で成熟期に入りつつある業界ですが、ここに至るまで、そこで挑戦や機会の模索をした人にとっては本当に様々なチャンスがありました。
私の視点でいくつか振り返ります。
2014年以前はビットコインそのものが大きな機会でした。当時は金融的側面・技術的側面の両面からビットコインの実像を真面目に捉えられる人は非常に少なかったです。
今でこそデジタルゴールドと評されているビットコインですが、当時は、「暗号技術によって改ざんできない・供給に制約がある・マイニングにはコストがかかる、それらの観点からゴールドに類似した仕組みだ」といっても多くの人が納得しませんでした。
今考えると、嘘みたいな話ですが、本当に金融のプロの人がその実像を捉えず決済手段としての不便さなどばかりをボトルネックにしていました。当時のビットコインの信望者は、全ての法定通貨は超長期的に無価値になるからこそビットコインの有用性を説いていましたが、今では広く認知されている「法定通貨の減価に対する危機感」は特に当時の日本人には全く刺さらなかったこともよく覚えています。インフレ率にこそ反映されていないものの、アベノミクスによる金融緩和が行われていて、文字通り日本円が刷られまくっている真っ最中でした。このギャップが投資対象としてとてもチャンスでしたし、しかもビットコインが3万円から10万円程度で放置されている期間は2〜3年続きました。
もっともそういったビットコインの本質的側面に少し早く辿り着いて、世間との認知ギャップを認識したとしても、決して簡単ではなく、「本当にその認知ギャップは間違っていないか?」と頭を悩ませ熟考したり、ビットコインの経済モデルや持続性を独自に時間と神経をかけて研究した人が2015年以前は多いのではないかと思います。私はこのときビットコインの仕組みや開発者コミュニティの様子を真剣に調べ興奮したのち、その後1年くらいで暗号資産業界へのコミットを増やすために当時経営していたアパレル事業を会社譲渡する意思決定することになります。この領域のピボットは私の意思決定のなかで最良のものだったと思います。
他に私にとって記憶に残っている大きなチャンスは、DeFi(分散型金融)の誕生です。今日現在DeFiの流通額(TVL)は$100.655b(0.1兆ドル)です。
この市場が2019年頃に急に誕生したのです。スマートコントラクトによって実行される金融取引は当時とても新鮮で、トークンによる流動性還元マーケティング手法も流行り、またたく間に取引規模を大きくしていきました。この黎明期である2020年頃に新しいDeFiの仕組みをいち早く理解したりすることに寝食を削って時間を費やした人は非常に良いリスクリターンが得られたと思います。もっともそのようなボーナスタイムは何年も長くは続かず、アービトラージ機会の減少や、ハッキング手法の高度化や、詐欺的なDeFi運営者の登場でリスク・リターンは悪くなってしまいました。
それでも金融領域で革新的なイノベーションが萌芽されたのは間違いなく、私がレンディング事業を立ち上げるきっかけでした。
他の分野でも、私は熱狂しませんでしたが、NFTなど様々な文脈でも高い熱量で大きいチャンスを拾った人はいたかもしれません。
このように本当に大きなチャンスや、いろいろな種類の熱狂があったと思います。
学びと、読者(特に若い人)に伝えたいこと
以上、大まかに私にとっての10年間、ビッグトレンドのクリプトで仕事や投資をしたことを簡単に振り返りましたが、そのうえで学びと、読者(特に若い人)に伝えたいことは以下です。
ビッグトレンドに少しでも熱を感じたら、その熱を大事にして全力で走ること
私がクリプトに一番熱量があり、起きている時間のほとんどを費やしていたのはおそらく2015年〜2017年や、2018年-2020年くらいの期間です。このときは本当にクリプト漬けでしたが、今思うともっと時間をかけたかったとすら思います。それだけあの時・あの瞬間のチャンスは取り戻せません。
冒頭にも書きましたが今はAIです。AIエージェント黎明期の2026年は、2040年には取り返せません。少しでも熱を感じたら、走り出して熱を高くして、もっと走る、それをこの2-3年で出来た人がむこう何十年もの仕事人生を決定付けると思います。
認知ギャップを無視しないこと
もし読者の人が今AIに熱量を持って手を動かしている側であったとして、目上の人となにか認識のギャップがあるな?と感じたとき、その認知ギャップはチャンスかもしれません。その相手が、過去にどんな凄い物を作ったエンジニアでも、売上実績がある事業開発者で、学ぶべきものが多い他者だったとしても、例えば最新のAIで何ができるかというわずかな1点においては手を動かしているあなたが正しい場合もあるかもしれません。そういったことが起きるのが急速なビッグトレンドの変化で、そこにこそアービトラージチャンスやあなたが社会に価値提供できる隙間があるかもしれません。
詐欺や不誠実なビジネスとに流されないこと
ビッグトレンドが起こると、その業界の周辺や、その技術を使って詐欺的な行為が行われたり、そこまでではなくとも不誠実なビジネスに流される人は必ず出てきます。
けどやっぱりそういった方面に一度行ってしまった人は世間はちゃんと見ているのでビジネス相手が限られてしまったり、長期的な経済リターンはむしろほとんどの場合は低下します。これは暗号資産というやや特殊な業界で仕事をしたからこそ強く実感しています。
そんなことしなくても、ビッグトレンドの中で頭使って手を動かして誠実でいれば、もしビジネス的にうまくいかなくても食いっぱぐれることはほとんどありえないのです。
念のために免責しますが、私はクリプト業界は野望のダウンサイジングがされたと表現しましたが、否定したいわけではありません。
クリプトはむしろビッグトレンドの黎明期を終え、部分的に社会に融合されることを期待しています。クリプトの10年は、ビッグトレンドに身をおいて仕事や投資をするときの態度を私に教えてくれました。
本noteでは、投資、事業、お金と生活、M&Aなどをテーマに今の時代の生存戦略の考察を書き、読者の方の仕事・蓄財に貢献することを目的にしています。メンバーシップも始めました。