GUIDE/ 2026.10.13约4分

トークンを持てば、その資産の持ち主?

国債や不動産に関連するトークンを持つと、どのような権利を得られるのでしょうか。RWA商品の権利、償還の条件、売買できる市場を確認するポイントを解説します。

トークンを持てば、その資産の持ち主?

RWAの商品で確認したい権利と換金条件

「国債に連動するトークン」を買ったら、国債そのものを持ったことになるのでしょうか。答えは、商品の仕組みによって変わります。国債への権利を持つ形もあれば、国債の値動きに応じた支払いを別の会社に求める形もあります。

RWAはReal World Assetsの略で、国債や不動産など現実世界の資産を指します。ここでは、そうした資産や関連する権利をデジタルのトークンで扱う仕組みを取り上げます。

同じ資産名でも、持てる権利は違う

証券を出す会社が自らトークン化する場合と、別の会社が関わる場合があります。米SECの2026年1月28日の職員声明は、第三者が関わる仕組みについても、元の証券を預かって保有者の権利を表すものと、値動きへの連動を提供するものを分けて説明しています。

前者では、元の証券に対する直接または間接の権利を持つ場合があります。後者では、元の証券の発行会社に対する権利を持たず、別の会社が約束した支払いを受ける形もあります。「第三者が発行したから、元の資産への権利は一切ない」と一括りにはできません。

利息を誰が受け取るのか、どの会社に支払いを求められるのか、資産を預かる会社が破綻したらどうなるのか。これらは契約書・目論見書などの商品資料と、適用される法律に沿って確認します。SEC職員声明は米国の証券についての見解で、新しい法律や規則ではありません。

市場で売ることと、発行体に戻すこと

現金化には、市場でほかの人に売る方法と、発行体などに戻して支払いを受ける「償還」があります。どちらを使えるかは商品次第です。

画面に価格が出ていても、その価格で買う人がいなければ売れません。償還が可能な場合も、受付時間や最低金額、本人確認、手数料などの条件があります。ブロックチェーンが24時間動いていることと、いつでも現金に換えられることは別です。

市場の基盤づくりも進んでいます。DTCCは2026年7月15日、DTCが保管する資産をトークン化し、30社超が参加する本番環境での取引を実施したと発表しました。同発表で示したサービス開始予定は2026年10月です。

対象はDTC参加者とその顧客です。本番環境で取引が行われたことと、サービスが広く提供開始されたことは分けて読む必要があります。

資産の記録と、代金の支払いも別

2026年9月21日には、ユーロシステムが「Pontes」を開始しました。トークン化資産の大口・金融機関向け取引で、代金を中央銀行マネーで決済する仕組みです。一般の人があらゆるRWA商品を買えるようにするサービスではありません。

取引代金を決済する仕組みが整っても、その商品の保有者が持つ権利や、売りたいときの買い手まで保証されるわけではありません。

商品を見るときの要点は、元の資産と保管先、自分の権利、償還の条件、売買できる市場の四つです。名称だけで判断せず、「自分は誰に、何を請求できるのか」を商品資料で確かめると、仕組みの違いを見分けやすくなります。

出典・関連資料

・米SEC|Statement on Tokenized Securities(2026年1月28日、職員声明)

・DTCC|DTC保管資産のトークン化サービス計画(2025年12月11日)

・DTCC|DTCトークン化資産による本番取引(2026年7月15日、公式発表)

・ECB|Eurosystem brings central bank money to tokenised finance(2026年9月21日)

・ESM|ECBのPontes開始についての声明(2026年9月21日)

・BIS|トークン化の金融安定上の論点(2025年8月28日)